令和3年度介護報酬改定
令和3年度介護報酬改定
栄養に関する改定の概要
令和3年度介護報酬改定の中から栄養に関する改定など一部をご紹介します。
令和3年1月18日厚生労働省より示された「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」から抜粋しました。

令和3年度介護報酬改定

1. 施設系サービスの栄養ケア・マネジメントの充実

栄養マネジメント加算を廃止し、栄養ケア・マネジメントを基本サービスに含める。

現行

栄養マネジメント加算

14単位/日

低栄養リスク改善加算

300単位/月

改正案

栄養ケア・マネジメントの未実施

14単位/日減算

栄養ケア・マネジメント強化加算

11単位/日

3年の経過措置期間を設ける

〔基本サービス〕
入所者の栄養状態の維持及び改善を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うこと。
現行
栄養士を1名以上配置
改正案
栄養士又は管理栄養士を1名以上配置

〔栄養ケア・マネジメント強化加算〕

  • 管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合は70)で除して得た数以上配置すること。
  • 低栄養状態のリスクが高い入所者に対し、①医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行い、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事の調整等を実施すること。 ②入所者が、退所する場合において、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援を行うこと。
  • 低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合は、早期に対応すること。
  • 入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。(CHASEへのデータ提出とフィードパックの活用)
  • 褥瘡マネジメント加算の併算定を可能とする。

2. 経口維持加算の算定期間の廃止

経口維持加算の6か月の算定期間の要件を廃止する。

3. 多職種連携による管理栄養士の関与の強化

  • 看取り期における栄養ケアの充実を図る観点から、看取りへの対応に係る加算(看取り介護加算、ターミナルケア加算)又は基本報酬の算定要件において、関与する専門職として管理栄養士を明記する。
  • 褥瘡の発生や改善は栄養と大きく関わることを踏まえ、褥瘡マネジメント加算、褥瘡対策指導管理の算定要件において、関与する専門職として管理栄養士を明記する。

4. 通所系サービスの口腔機能向上の取組の充実

介護職員等による口腔スクリーニングの実施を新たに評価する。(6カ月に1回算定可)

現行

栄養スクリーニング加算

5単位/回

改正案

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)

20単位/回

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)

5単位/回

▶算定要件
加算(Ⅰ)は①及び②に、加算Ⅱは①又は②に適合すること。
当該事業所の従業員が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の口腔の健康状態について確認を行い、当該利用者の口腔の状態に関する情報を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。
当該事業所の従業員が、利用開始時及び利用中6月ごとに利用者の栄養状態について確認を行い、当該利用者の栄養状態に関する情報(当該利用者が低栄養状態の場合にあっては、低栄養状態の改善に必要な情報を含む)を当該利用者を担当する介護支援専門員に提供していること。

5. 通所系サービスの栄養ケア・マネジメントの充実(新) (看護小規模多機能型居宅介護を含む)

管理栄養士と介護職員等の連携によるアセスメントの取り組みを新たに評価する。

栄養アセスメント加算

50単位/月

▶算定要件
  • 口腔・栄養スクリーニング加算Ⅰ及び栄養改善加算との併算定は不可
  • 当該事業所の従業員として又は外部※との連携により管理栄養士を1名以上配置していること。
  • 利用者ごとに、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して栄養アセスメントを実施し、当該利用者又はその家族に対してその結果を説明し、相談等に必要に応じて対応すること。
  • 利用者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、栄養管理の実施に当たって、当該情報その他栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)

※他の介護事業所、医療機関、介護保険施設、日本栄養士会や都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」。ただし、介護保険施設については、常勤で1以上又は栄養ケア・マネジメント強化加算の算定要件を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。

6. 通所系サービスの栄養改善加算の要件追加 (看護小規模多機能型居宅介護を含む)

栄養改善サービスの提供に当たって、必要に応じ居宅を訪問することを新たに求める。(1カ月に2回算定可)

現行

栄養改善加算

150単位/月

改正案

栄養改善加算

200単位/月

7. 認知症グループホームにおける栄養改善の推進(新)

栄養改善の取り組みを進める観点から、管理栄養士(外部との連携を含む)が介護職員等へ利用者の栄養・食生活に関する助言や指導を行う体制づくりを進めることを評価する新たな加算を創設する。

栄養管理体制加算

30単位/月

※他の介護事業所、医療機関、介護保険施設、日本栄養士会や都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」。ただし、介護保険施設については、常勤で1以上又は栄養ケア・マネジメント強化加算の算定要件を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。

8. CHASE・VISIT情報収集・活用とPDCAサイクルの推進(新)

  • 施設系、通所系、居住系、多機能系サービスについて、事業所すべての利用者に係るデータ(ADL、栄養、口腔・嚥下、認知症等)を介護データベース「CHASE」に提出してフィードバックを受け、事業所単位でのPDCAサイクル・ケアの質の向上の取組を推進することを新たに評価する。
  • 全ての事業者に、CHASE・VISITへのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの質の向上を推奨。
  • 令和3年度から、CHASE・VISITを一体的に運用するにあたって、科学的介護の理解と浸透を図る観点から、以下の統一した名称を用いる予定。科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)
施設系サービス

科学的介護推進体制加算(Ⅰ)

40単位/月

科学的介護推進体制加算(Ⅱ)

60単位/月

加算(Ⅱ)について、服薬情報の提供を求めない特養・地密特養については、50単位/月

通所系・多機能系・居住系サービス

科学的介護推進体制加算

40単位/月

▶算定要件
イ.入所者・利用者ごとの心身の状況等(加算(Ⅱ)については心身、疾病の状況等)の基本的な情報を、厚生労働省に提出していること。
ロ.サービスの提供に当たって、イに規定する情報その他サービスを適切かつ有効に提供するために必要な情報を活用していること。

9. リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の連携・強化

リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する加算等の算定要件とされている計画作成や会議について、リハ専門職、管理栄養士、歯科衛生士が必要に応じて参加することを明確化する。リハビリ・機能訓練、口腔、栄養に関する各種計画書(リハビリ計画書、栄養ケア計画書、口腔機能向上サービスの管理指導計画・実施記録)について、重複する記載項目を整理するとともに、それぞれの実施計画を一体的に記入できる様式を設ける。

10. 居宅療養管理指導の見直し

外部の管理栄養士(医療機関、介護保険施設、栄養ケア・ステーション)による評価を追加

現行
居宅療養管理指導費(事業所の管理栄養士が行う場合)
 

(1)単一建物居住者1人に対して行う場合

539単位

(2)単一建物居住者2~9人に対して行う場合

485単位

(3)(1)及び(2)以外の場合

444単位

改正案
(1)居宅療養管理指導費(Ⅰ)(事業所の管理栄養士が行う場合)
 

(一)単一建物居住者1人に対して行う場合

544単位

(二)単一建物居住者2~9人に対して行う場合

486単位

(三)(一)及び(二)以外の場合

443単位

(2)居宅療養管理指導費(Ⅱ)(外部の管理栄養士(医療機関、介護保険施設、栄養ケア・ステーション)が行う場合)
 

(一)単一建物居住者1人に対して行う場合

524単位

(二)単一建物居住者2~9人に対して行う場合

466単位

(三)(一)及び(二)以外の場合

423単位

11. 介護保険施設の食事の基準費用額の見直し

介護事業経営実態調査結果から算出した額との差の状況を踏まえ、利用者負担への影響も勘案しつつ必要な対応を行う。

現行
食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して
厚生労働大臣が定める費用の額

1,392円/日

改正案
食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して
厚生労働大臣が定める費用の額

1,445円/日

参考資料 社保審-介護給付分科会資料より抜粋