(元 昭和大学病院藤が丘病院客員教授 出浦照國先生 一部改変)
これらのことを十分考慮したうえで指導をおこなうことが重要です。
このように、まず尿や腹部エコーなどによる画像診断、血液検査などで明らかな腎障害が存在する場合と、腎機能の指標であるGFRが60 mL/分/1.73m2未満(腎機能60%未満に相当)の場合のいずれか一方、または両方が3か月以上持続する場合にCKDと診断できるとしています。
したがってCKDでは原疾患を問いません。
②たんぱく質
GFRが60mL/min/1.73㎡以上に保たれている場合には取りすぎを抑えるだけで特別な制限とはせず、それ以下に低下した場合には徐々に制限を強化するという考え方です。
③食塩
高血圧や浮腫の予防と治療のために、腎機能の程度を問わず制限を必要とします。しかし、腎機能の低下によりNaの保持能力が低下し、厳しすぎる制限は時として低Na血症を招く危険性があるため、注意を要します。
④カリウム
GFRが45mL/min/1.73㎡以上の場合には高K血症となることが少ないとの理由からK制限はなしとなっており、それ以下に低下した場合には腎機能に応じてK制限を強化するという考えです。
このように、ガイドラインの数値にあまり固着せず、その数値の意味を理解して指導にあたることが大切です。
以上、CKDの栄養指導についてその概要を解説しました。CKDと言っても、原疾患や病期、また臨床症状によって千差万別であり、また、患者さんの年齢、生活背景も同様に千差万別です。したがって栄養指導も、100人のCKD患者さんがいたら100通りの指導方法で対応しなければなりません。究極のテーラーメイド医療です。
CKD患者さんは、わが国においては1,000万人以上いると推定され、そのうち透析目前の腎不全期にある患者さんは20万人以上いると推定されています。すなわち、私たち管理栄養士を必要としている患者さんが数多く存在しているということです。
私たちはそれらの患者さんの期待に応える責務があります。そのために、弛まない努力を続けることが必要です。
私たちは、CKDおよび透析患者さんの栄養指導を実践的に知っていただくことを目的に、全国各地で下記のセミナーを開催しています。
是非ご参加ください。