2.特別用途食品(えん下困難者用食品)
2009年厚生労働省が策定。現在は消費者庁が管轄。特別用途食品(えん下困難者用食品)は、えん下困難者に適するという特別の用途について表示するものです。硬さ、付着性、凝集性の許可基準によりその適合性を審査し、国(消費者庁)の許可を受けて表示します。許可基準I、Ⅱ、Ⅲに分類されています。「許可を受けるべきえん下困難者用食品(えん下を容易ならしめ、かつ、誤えん及び窒息を防ぐことを目的とするもの)たる表示の適用範囲については、えん下困難者の用に適する旨を医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。」と規定されています。
●特別用途食品(えん下困難者用食品) 規格基準
- ※1常温及び喫食の目安となる温度のいずれの条件であっても規格基準の範囲内であること。
※2均質なもの(例えば、ゼリー状の食品)。
※3均質なもの(例えば、ゼリー状又はムース状等の食品。ただし、許可基準Ⅰを満たすものを除く。
※4不均質なものも含む(例えば、まとまりのよいおかゆ、やわらかいペースト状又はゼリー寄せ等の食品)。ただし、許可基準Ⅰ又は許可基準Ⅱを満たすものを除く。
特別用途食品の表示許可等について
3.ユニバーサルデザインフード(UDF)
日本介護食品協議会が2002年に作成。日本缶詰協会の呼びかけにより介護食品を製造するメーカーが、利用者にわかりやすい表示をするための自主規格として策定されました。かたさと粘度の物性規格により4つの区分に分類し、区分のマークを商品に表示して販売しています。「容易にかめる」「歯ぐきでつぶせる」「舌でつぶせる」「かまなくてよい」の4つの区分に分け、かむ力の目安、飲み込む力の目安、かたさの目安が示されています。とろみ調整食品については、とろみのつき方を3~4段階で表示を統一。2017年に区分を表す、1~4の番号が削除されました。
●ユニバーサルデザインフードの選び方(区分表)
●とろみの目安の表示例
- 日本介護食品協議会ホームページ
4.嚥下食ピラミッド
金谷栄養研究所所長金谷節子氏が2004年に発表。摂食・嚥下の難易度にもとづき、普通食から嚥下食までの6段階のレベルに分類。 訓練食(レベル0~2)、嚥下食(レベル3)、介護食(移行食)(レベル4)、普通食(レベル5)とする6段階に層別化しています。かたさ、凝集性、付着性で基準化されています。
●嚥下食ピラミッド
- 嚥下食ドットコム
5.スマイルケア食
2014年農林水産省が作成。高齢者のみならず食機能(噛むこと、飲み込むこと)や栄養に関して問題があるという方々に、幅広く介護食品を利用していただけるよう、介護食品の供給拡大に向けた検討を行い、スマイルケア食の枠組みを整備。「スマイルケア食」は、健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品に「青」マーク、噛むことが難しい人向けの食品に「黄」マーク(4段階)、飲み込むことが難しい人向けの食品に「赤」マーク(3段階)を表示します。早見表は利用者の状態に応じて問いに答え、矢印に沿って進んでいくと適切なスマイルケア食が選べる構造になっています。各マークの使用を希望する製造メーカーは利用許諾ルールに適合していると自己適合宣言した上で、農林水産省に申請し使用許諾を得ます。
●スマイルケア食の選び方
- 新しい介護食(スマイルケア食) 農林水産省ホームページ
6.嚥下調整食分類2018
正式名称「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類2018」
日本摂食嚥下リハビリテーション学会が2018年に公表。
「学会分類2013」は主に成人の中途障害者のための分類ですが、本分類は充分な摂食嚥下機能を獲得していない、発達期摂食嚥下障害児(者)の摂食嚥下機能発達促進に資することを目的に策定されました。主食と副食それぞれ4分類、液状食品(飲料・ミルク)5分類を設定し、主食、副食については、各分類に水分やとろみ調整食品、ゲル化剤を加えるなどの手元調整による展開例を示し、個々の状態に合わせた対応ができるように配慮されています。対象の特徴や、各分類の説明の他、使用上の注意点なども紹介されています。
●発達期嚥下調整食分類(主食表)
●発達期嚥下調整食分類(副食表)
- 「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類2018」
「発達期摂食嚥下障害児(者)のために『嚥下調整食分類2018』を活用するために」