ここは見逃せない!高齢者心不全栄養のポイント
心不全発症時、身体機能は大きく低下します。治療により急性期を脱すると軽快するものの、しばらくすると再発し治療によってまた軽快します。再発と軽快を繰り返す一方、身体機能は徐々に低下して元に戻ることはありません。(図1)
心不全患者さんに栄養介入を行った結果、死亡率や再入院率が低下したという報告もあります。しかし心不全患者に対する栄養管理の重要性は、日本ではまだ十分に浸透していないのが実情です。例えば『急性・慢性心不全治療ガイドライン(2017年改訂版)』(日本循環器・日本心不全学会)では、塩分・水分管理と栄養管理を合わせても、解説に半ページほどが割かれている程度に過ぎません。
塩分制限以外の手法として、症状に応じた栄養サポートが考えられます。例えば、肝うっ血・腸管浮腫が生じている場合は、脂質量・食物繊維の調整や少量高カロリー食など消化器症状に応じた食事調整を行う、肺うっ血により呼吸苦や呼吸困難になりやすい場合は栄養補助食品の付加や食事量の調整などで食事時間の短縮を図る、末梢組織にむくみがあり食事中に疲労感や倦怠感を覚える場合はあまり咀嚼せずに食べられたり少量・短時間で摂取できる食事にしたりして疲労感の軽減を目指す、といったことです。